婚活前(シーン2)



結美「あー。終わったー。」                        
 結美は、お面をとって、伸びをしながら、光輝に話しかけた。光輝がこちらを向
いて、笑顔で答えた。                           
光輝「お疲れさま。今日は、かなり調子良かったな。」            
結美「ありがと。」                            
光輝「この『桜の木の伝説』も、人形師の物語だけど、結美のような人形を操って
   いたのかな。」                           
結美「この人形劇、代々、伝わってるらしいよ。私は、小さい頃、おじいちゃんか
   ら教わったし。人形も、おじいちゃんから貰った。」          

光輝「へえ。それはそうと、今度の日曜日空いてる?今回頑張ったし、公演の打ち
   上げしようぜ。」                          
結美「あー。その日は駄目。もう予定入ってる。」              
光輝「何の予定?」                            
結美「婚活イベントがあるの。」                      
光輝「また、婚活?今回で何回目よ。」                   
 光輝の顔が少し呆れたような感じになった。結美は気にせずに続けた。    
結美「次で、10回目ね。」                        
光輝「良くやるなあ。」                          

結美「今度こそは、必ず、理想の人をゲットするの。」            
光輝「理想って。どんな人が理想なんだよ?」                
結美「年収1000万で、背が高くて、優しい人。」             
光輝「そんなやついるのか?」                       
結美「いるわよ。どこかに。そういう光輝はどうなのよ。香純さんとは上手くいっ
   てるの?」                             
光輝「あー。今度、実家に行くつもり。」                  
結美「はー。なに、それ。結婚するの?もう、ゴールイン?」         
光輝「結婚ってゴールなのかよ?」                     
 結美にツッコミを入れた後、光輝の顔が少し曇った。            

光輝「まあ、上手くいくといいんだけど。」                 
結美「良いなあ。私も、良い人がいれば。」                 
光輝「ただ、相手の家の親が、家柄とかにこだわる感じなんだよな。」     
結美「そっかあ。香純さんってお嬢様って感じだもんねえ。」         
光輝「あいつのそういうところが好きなんだけどな。」            
結美「あー。熱い、熱い。ごちそうさまでした。」              
光輝「茶化すなよ。結構、緊張してるんだよ。」               
結美「らしくない!駄目だったら、私と結婚する?」             
光輝「年収1000万なんて無いぞ。」                   
結美「じゃあ、駄目ね。もっと稼いで!まあ、上手くいくことを祈ってるわ。」 
光輝「サンキュ。」                            

 結美は、光輝なら香純の家に行っても大丈夫なんじゃないかなと思いつつ、それ
でも上手くいくように願いながら、光輝と別れた。              

  シーン3以降は、現在一部公開です。
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